OSI参照モデル 目次 概要 例 歴史 TCP/IPとOSI参照モデル 回線速度と通信速度 比喩 関連書籍 脚注 関連項目 案内メニュー編歴編歴ITU-T Recommendation Q.1400 (03/1993)
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OSI参照モデル通信プロトコルISO標準種類別のモデル
英コンピュータ通信階層構造モデル国際標準化機構(ISO)通信プロトコル1977年1984年OSIITU-TJISSNATCP/IPDARPAモデルIETFインターネット・プロトコル・スイート国際標準化機構データ通信ネットワーク構造開放型システム間相互接続ネットワークアーキテクチャーSNAFNADINADCNA1977年3月CCITT1982年1983年1984年1985年TCP/IP1982年1984年1990年ISDNADSL米国エンドユーザタコベルブリート
OSI参照モデル
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OSI参照モデル(OSIさんしょうモデル、英: OSI reference model)は、コンピュータの持つべき通信機能を階層構造に分割したモデルである。国際標準化機構(ISO)によって策定された。
OSI基本参照モデル、OSIモデルなどとも呼ばれ、通信機能(通信プロトコル)を7つの階層に分けて定義している。
目次
1 概要
1.1 レイヤー構成
2 例
2.1 層別の例
2.2 層別・プロトコルスイート別の例
3 歴史
4 TCP/IPとOSI参照モデル
5 回線速度と通信速度
6 比喩
7 関連書籍
8 脚注
9 関連項目
概要
お互いが参照・被参照関係にあるレイヤによるモデルであり、上位層は下位層に対して抽象化されている。
OSI参照モデルは、1977年から1984年にかけて定義されたOSIのために策定されたが、OSI自体は普及せずに、OSI参照モデルだけがネットワークの基本モデルとして広く参照されるようになった。
OSI参照モデルはISO/IEC 7498として規格化され、後にITU-TではX.200、JISではJIS X5003として、同一内容を定義している。
ただし、OSI参照モデルは、本来はOSI準拠製品用の参照モデルであり、OSI以外の通信プロトコルはOSI参照モデルに準拠して作られた訳ではない。
例えばいくつかの教科書では、OSIの7階層を、SNAの7階層や、TCP/IPなどを含むDARPAモデルの4階層と対応付けして説明しているが、これらは全て理解を助けるための参考資料である。
厳密にはそれぞれ各層の定義・範囲・役割なども異なり、個々のプロトコルをどの層に位置づけるかも著者により異なる。なおIETFは、インターネット・プロトコル・スイートと構造の開発はOSIに準拠する意図はないと述べている。
レイヤー構成
国際標準化機構 (ISO) によって制定された、異機種間のデータ通信を実現するためのネットワーク構造の設計方針「開放型システム間相互接続 (Open Systems Interconnection、OSI)」に基づいて通信機能を以下の7階層(レイヤ)に分割する。
OSI参照モデル |
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7. アプリケーション層
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6. プレゼンテーション層
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5. セッション層
|
4. トランスポート層
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3. ネットワーク層
|
2. データリンク層
|
1. 物理層
|
- 第7層 - アプリケーション層[1]
- 具体的な通信サービス(例えばファイル・メールの転送、遠隔データベースアクセスなど)を提供。HTTPやFTP等の通信サービス。
- 第6層 - プレゼンテーション層
- データの表現方法(例えばEBCDICコードのテキストファイルをASCIIコードのファイルへ変換する)。
- 第5層 - セッション層
- 通信プログラム間の通信の開始から終了までの手順(接続が途切れた場合、接続の回復を試みる)。
- 第4層 - トランスポート層
- ネットワークの端から端までの通信管理(エラー訂正、再送制御等)。
- 第3層 - ネットワーク層
- ネットワークにおける通信経路の選択(ルーティング)。データ中継。
- 第2層 - データリンク層
- 直接的(隣接的)に接続されている通信機器間の信号の受け渡し。
- 第1層 - 物理層
- 物理的な接続。コネクタのピンの数、コネクタ形状の規定等。銅線-光ファイバ間の電気信号の変換等。
例
下記は、OSIモデルの各層ごとのプロトコルやサービスの例である。ただし上述のようにOSIモデルはOSI準拠プロトコルのための参照モデルであり、OSIスイート以外はOSIモデルに沿って設計・開発される訳ではない。このため、下の例はあくまで「仮にOSIで言えばどの層に相当すると思われる」ていどの参考である。
実際には、一部のプロトコルやサービスは、OSIモデルのどの層に属するかについて、幾つかの異なる見解が存在する。また複数層に跨っている物もある。図示の例はあくまでも一見解に過ぎない。
層別の例
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層別・プロトコルスイート別の例
層 | 例・その他 | IP suite | SS7[2] | AppleTalk suite | OSI suite | IPX/SPX | SNA | UMTS | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
# | 名称 | ||||||||
7 | アプリケーション層 | HL7, Modbus | NNTP, SIP, SSI, DNS, FTP, Gopher, HTTP, NFS, NTP, DHCP, SMPP, SMTP, SNMP, Telnet, RIP, BGP | INAP, MAP, TCAP, ISUP, TUP | AFP, ZIP, RTMP, NBP | FTAM, X.400, X.500, DAP, ROSE, RTSE, ACSE | RIP, SAP | APPC | |
6 | プレゼンテーション層 | TDI, ASCII, EBCDIC, MIDI, MPEG | MIME, XDR, SSL, TLS (Not a separate layer) | AFP | ISO/IEC 8823, X.226, ISO/IEC 9576-1, X.236 | ||||
5 | セッション層 | 名前付きパイプ, NetBIOS, SAP, Half Duplex, Full Duplex, Simplex, SDP | Sockets. Session establishment in TCP. SIP. (Not a separate layer with standardized API.), RTP | ASP, ADSP, PAP | ISO/IEC 8327, X.225, ISO/IEC 9548-1, X.235 | NWLink | DLC? | ||
4 | トランスポート層 | NBF | TCP, UDP, SCTP | DDP | ISO/IEC 8073, TP0, TP1, TP2, TP3, TP4 (X.224), ISO/IEC 8602, X.234 | SPX | |||
3 | ネットワーク層 | NBF, Q.931, IS-IS | IP, IPsec, ICMP, IGMP, OSPF | SCCP, MTP | ATP (TokenTalk or EtherTalk) | ISO/IEC 8208, X.25 (PLP), ISO/IEC 8878, X.223, ISO/IEC 8473-1, CLNP X.233. | IPX | RRC PDCP and BMC | |
2 | データリンク層 | 802.3 (Ethernet), 802.11a/b/g/n MAC/LLC, 802.1Q (VLAN), ATM, HDP, FDDI, Fibre Channel, フレームリレー, HDLC, ISL, PPP, Q.921, トークンリング, CDP, ARP (maps layer 3 to layer 2 address), ITU-T G.hn DLL | PPP, SLIP, PPTP, L2TP | MTP, Q.710 | LocalTalk, AppleTalk Remote Access, PPP | ISO/IEC 7666, X.25 (LAPB), トークンバス, X.222, ISO/IEC 8802-2 LLC Type 1 and 2 | IEEE 802.3 framing, Ethernet II framing | SDLC | LLC , MAC |
1 | 物理層 | RS-232, V.35, V.34, I.430, I.431, T1, E1, 10BASE-T, 100BASE-TX, POTS, SONET, SDH, DSL, 802.11a/b/g/n PHY, ITU-T G.hn PHY | MTP, Q.710 | RS-232, RS-422, STP, PhoneNet | X.25 (X.21bis, EIA/TIA-232, EIA/TIA-449, EIA-530, G.703) | Twinax | UMTS L1 |
歴史
1970年代中頃、ネットワーク機器各社独自のネットワークアーキテクチャーが次々に発表され始めた。IBMのSNA、DECのDNA、富士通のFNA、日立製作所のHNA、日本電気のDINA、電電公社のDCNAなどである。機器を一つのメーカー製で揃えられるのであれば問題は無いが現実的には難しく、異なる機種同士を接続するための標準化が急がれていた。
ISO(国際標準化機構)の情報処理システム技術委員会は1977年3月にSC 16を設置、OSIの国際標準化を開始する。
しかし、CCITT(国際電信電話諮問委員会)がOSI参照モデル案を参考として独自の検討を開始。CCITTとSC 16での意見のすり合わせを行い、基本的な意見を合意。1982年にトランスポート層の標準、1983年にセッション層の標準の草稿が完成。
1984年、情報処理システム技術委員会はSC 16からSC 21にOSIの標準化を引き継がせ、1985年に応用層の新プロトコルを標準化項目に追加した。その後現在まで、拡張や新たなプロトコルの制定が続けられている。
TCP/IPとOSI参照モデル
TCP/IPの基本仕様は1982年頃にはほぼ固まっており、OSI参照モデルは1984年に完成した。当初の予定ではOSI参照モデルを基に、準拠した通信機器やソフトウェアが開発・製品化していくはずであったが、TCP/IPが1990年代中ごろから急速に普及したため、OSI準拠製品は普及しなかった。
OSI参照モデルはネットワークの基本として残り、互いを補い合う形に落ち着いた。
回線速度と通信速度
ISDNやADSLやIEEE 802.3等で表記される回線速度は第2層のことであり、例えばファイル転送で計測する通信速度とは異なる。ファイル転送で計測する速度は実アプリケーションから見た速度であって、通常は第3層以上の各種制御情報が付記されるため、回線事業者の謳う回線速度より若干低い値となる。
比喩
米国では、OSI参照モデルの7階層モデルを拡張して技術的でないことまで指し示してしまう、というジョークもある。良く知られているのは10階層モデルであり、「第8層ユーザ層」「第9層財務層」「第10層政治層」あるいは「第8層お金層」「第9層政治層」「第10層宗教層」などとなっている。
ネットワーク技術者が「第8層問題だよ」と言っていれば、それは「ネットワーク自体には問題は無くて、エンドユーザに問題があるんだよ」という意味である。同様に、財務層に問題があるとはコストの面で問題があるということ。お金で解決できることは決して少なくない。政治層は、社内政治や導入に関連するSI同士の競合によって導入できる技術仕様に制限がかかる、といった状況を指す。宗教層は「信ずるもの」の意味である。導入責任者の技術志向性や信念等が相当する。
OSIモデルをタコベルモデル(7段重ねのブリートで有名)と比喩することもある。
「第0層土建層」(有線ネットワークを敷設する建物の構造)という比喩もある。
関連書籍
- 『OSIプロトコル絵とき読本』(初版)オーム社(1987年発行) ISBN 4-274-07379-3
- 『OSIプロトコル絵とき読本』(改版)オーム社(1989年発行) ISBN 4-274-07530-3
脚注
^ (注)OSI参照モデルの第7層における「アプリケーション」とは、あくまでHTTPやFTP等の通信サービスのことであり、いわゆる「アプリケーションソフト」の意味ではない。また "ユーザーが操作するインターフェース" のことでもない
これは頻繁に誤解されていることなので注意が必要である。第七層も一般ユーザーには直接には全く見えない形で、メーリングソフトやホームページ作成公開ソフト等のアプリケーションソフトの背後で動作しているものである。
^ ITU-T Recommendation Q.1400 (03/1993), Architecture framework for the development of signalling and OA&M protocols using OSI concepts, pp 4, 7.
関連項目
開放型システム間相互接続 (OSI)- プロトコルスタック
- Open Data-Link Interface
- Network Driver Interface Specification
カテゴリ:
- OSI参照モデル
- 通信プロトコル
- ISO標準
- 種類別のモデル
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